五月某日、東名高速下り足柄SA。
彼方に富岳が見える。

「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にこそ富士の高嶺に雪はふりける」
と『万葉集』に詠んだのは山部赤人。
古来より霊峰として山岳信仰の対象となり、平安時代には成立していたものと推測される『竹取物語』にもその名が伺え(たはずで)、富士登山も平安期に始まっている。
山頂には浅間神社があり、その祭神は木花咲耶姫(火の神筈が何故か火を沈める水の神扱いらしい)。
僕が小学校の頃には休火山と習ったが、教科書ではいつの間にやら活火山に変更されている。
まぁ、富士山がそろそろ噴火という話題が度々囁かれるのだから休火山のわけがないよなぁ。
それにしても、地理で習った典型的な成層火山の何とも分かり易い姿をしてらっしゃる。
幾千年の刻を越えて一般受けがよく、アナクロな異邦人に「芸者・腹切り・冨士山」と認識され、日本のシンボルのように言われるのも、日本最高峰という数字より景観の美しさと稜線と広大さに起因しているのかしらん?
しかし実態は、その象徴性こそが仇となり山肌は人とゴミ、数多の人工物に溢れ観光地化し、裾野には自殺の名所と不法投棄のゴミ山、ネオンを灯したラブホテルが彼処に軒を連ね、その惨状は霊山も国立公園もあったものじゃなく、遠くから眺める方が正解だと思わずにはいられないが…
標高3776M。
高い気もするが、昨年来CMで人気者となったアルカパ(アンデスの3,500~5,000㍍に生息。因みにアルカパは高級素材で知られるヴィキューナ(ビクーニャとも。その原毛はきめ細かく柔らかく高品質であり、稀少性と相まって「繊維の宝石」、「神の繊維」とも呼ばれる。アンデスの標高4,800㍍以上の高地に生息し、赤血球は人間の約三倍!原毛100%の生地ならコート一着で数百万円するらしい恐るべきラマである
二年に一度しか毛は刈り込まれず、その原毛は南米国家が外貨獲得の為に厳重に管理されているそうな…。)から派生した動物。時速40㌔ぐらいはだせるらしい。威嚇の唾には注意)はまだそれよりも高い所に生息しているんだよなぁ
もっとも富士の場合、噴火のデパートと呼ばれる程の(誰が呼んだ?)度重なる噴火で、高山動植物自体ほとんど生息していないようだが…
俗っぽいと思いながらも、弥次喜多も眺めたと想像するとなにかしらの感情が去来しないこともない。
が、あまりにも分かり易すぎてひねくれ者には受け入れがたく、やはり登りたいとは露にも思わないが……
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