限りある道
先日のお話。
地獄の淵から帰還を果たすべく、木津川沿いを伊賀盆地から山城の国南部を経て淀川に注ぐまで逃走経路をひた走る。
晴天の候、張り巡らされた検問もコンビニのちんぴらもやり過ごし大和路を越え摂津の国に至る。
四条畷の交差点を走行中、左斜め前方で起きたまさかまさかの白いカブに乗った警官の派手な転倒も、守口に現れた流線型のユニフォームを身に纏いレーサータイプの自転車を駆るものの姿ばかりで全く速くない走行で京阪沿いの狭路を塞ぐ週末のおっさんの襲撃もやり過ごす。
これでもかというほど思いの外の障害の連続に悩まされ、気が付けば運転時間は二時間半、可及的速やかに帰還しようと思えど見えざる意志はそうはさせじと襲いかかってくる。
それでもなんとか内環まで戻ってきた所で気付いた茶番劇、或いは僕に食らい付いて放さない黒い犬の地獄の陥計。
なんてことでしょう……部屋の鍵がない。
せっかくここまで戻ってきたのに部屋に入れない。
マラソンで言えば、もはやゴール前のトラックまで戻ってきているというのに………
鍵はジャケットの胸ポケットに入れてある。
しかし、そのジャケットはこの車のどこにも存在しない。
汗ばむほどの小春日和が、僕からその存在を失念させたのだ(;;;´Д`)ゝ
そしてこの事実を助手席に座る父に何と言って告げればいいものか……(汗)
いっそ井上陽水の『傘がない』を『鍵がない』に替え歌して真実を告げつつ笑ってお茶を濁すのも手だろうか?
しかし、事態が事態なだけに笑いに逃げるのはむしろ危険かもしれず、また笑いをとれなければそれこそ命取りだ…
帰路を進めば進むほど事態は悪化するわけで、いつものようにバックれる訳にはいかず![]()
そして、…………………
………( ゚д゚)ポカーン
ここで一句、
かぎろひの 春愚なるかな 鍵忘れ
父の溜め息 限りの旅路
そんなこんなで地獄の沙汰に逆戻りし拘置期間延長。
これまでの苦難はなんだったのか?
渋滞にも花粉症にもめげず運転してきたのに…
そしてこの苦難を明日また繰り返さなければならないのか!?
ああ、なんてことでしょう……゚゚(´O`)°゚
僕は本格バカで、はっはっは、笑ってくれよベイベー、このハートブレイク癒すカクテルを作っておくれよ、マスタ〜、この僕はとんだお笑いぐさの地球の最下等の生物さ![]()
もはや多くのものは無に帰し、無言で誰もしゃべりはしない車内には、静寂と過多の胃酸が有るばかり。
いっそ春疾風でも吹き荒れてもらいたいものだ…
道中NHKラジオから流れていた、なつかしの臼杵のキッチョムさんのトンチ話は愚者たる僕を笑っていたのだろうか?
ゲストの滋賀大の睡眠学者がリクエストした山本譲二の『奥入瀬』が歌う、
なぜこんなにも 遠くて近い~
という歌詞はなんと真理を告げるのものであろうか?
今は木津川も阿修羅の流れのように思える。
とにもかくにも己の馬鹿さ加減にあきれ果て消え入ってしまいたい。
ただ住まいに帰り、部屋に入りたいだけなのに…唯一鍵がそこにないことが全てを妨げる。
越えられない壁……これこそ馬鹿の壁か…?
ああ……なんたる間抜け、なんたる阿呆、( Д) ゚ ゚
このへたれっぷりときたらフルメタルジャケットのハートマン軍曹でなくとも「ジジイのFUCKの方がまだ気合いが入っている」と言うに違いないへたれっぷりだ!
ううむ…パパとママの愛情が足りなかったのだろうか…Σ(;・∀・)
そして同じく道中ラジオから流れてきたエレカシががなるように歌っていた松任谷由実のカバー曲『翳りゆく部屋』は、
どんな運命が 愛を遠ざけたの
輝きは 戻らない
わたしが 今 死んでも
と既視感たっぷりに歌うのだった。
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